自給自足系ミニマリスト

物を少なくしたら暮らしやすくなりました。物の選び方、手放す方法などかいています。

味がする旅のエッセイ「洗面器でヤギごはん」を本棚へ。ずっと手放せなかった本を手放しました。

大人たちだけが知っている、おいしい食べ物。

(ドイツのレストランで食べたランチ。モンゴル人とドイツ人と日本人で行きました。)

小学校の時の話です。

「ねぇこれ、大人だけの食べ物なんだよ。台所からこっそり持ってきちゃったんだー。」

滑り台のふもとに座って、友人がポケットから出したものは、コーヒーのポーションミルクでした。
(今は大人になったので、ポーションミルクを袋買いできちゃいます、食べ放題です。食べないけれど。)

それを3人で舐めてみると、これがとっても美味しくて、その噂が広まって、ポーションミルクを持ち出して舐める、というのが流行りました。

うちにもないか探してみると、「クリープ」という粉末状のものしかなくて、がっかりしました。 が、試しにこっそり舐めてみると。クリープの方がおいしい!!

こうしてわたしは、親の目を盗んではクリープを舐める、ということをしばらくしていました。

「大人って!!」

昔、永谷園のCMで、小さな男の子が夜中、そっと両親を見るとお茶漬けを食べていて、「大人って!!」と地団駄を踏んで枕を床に投げつける、というようなCMがありました。

そんなお茶漬けも今や、食べようと思えばいつでも食べられる状況にあります。

制約があるからこその「おいしそう!」は、あると思うのです。

制約が少なくなって、知った味が増えていって、そうすると、知らない味を求めたくなります。とくにわたしのような、好奇心旺盛なタイプの人間は。

「美味しそう」ばかりじゃないのがまたいい。旅の食エッセイを読みました。

積読本を読む、と手帳に書いて早速、1冊読み終えました。

石田ゆうすけさんの洗面器でヤギごはん という旅の食エッセイです。

わたしは旅エッセイの、その中でもとくに食のエッセイを読むのが好きなのですが、他にはない感覚が石田さんの著書にはあります。

「読んでいると味がしてくるリアルさ」があるのです。

食べたことのある国の料理は味を思い出すのでもちろんですが、アフリカには一度も行ったことのないわたしでも、まるで味を知ってしまったかのような感覚になります。

それはきっと、石田さんもあとがきで書いていましたが、

味を表現するときに、「美味しい」「うまい」「まずい」という単語を使わないこと。 (石田ゆうすけ 洗面器でヤギごはん p、361引用)

これが、リアルな味を体感できる理由ではないかと思います。

たとえばイタリアでピザにかぶりつくシーンがこちらです。

(写真は私が食べたピザなのでイメージです。)

かぶりつくと、トマトの爽快な酸味と甘み、および汁気たっぷりのモッツァレラチーズが溶け合ったスープが口のなかに大量にあふれ出した。〜中略〜うっとりしたあと、スープを吸って表面がブルブルにとろけた生地、しかしながらなかのほうはもっちりとした食感をしっかり残した生地が、歯にグニッとのり、小麦の香ばしい風味がブワッと顔のまわりや喉の奥に広がるのである。 (石田ゆうすけ 洗面器でヤギごはん p、255引用)

このように、かぶりつくところから喉を通って体に入っていくまでを、なぞっていくように書いているので、想像している間に食べている気になれます。

この本を本棚に納める代わりに、ずっと捨てられなかったエッセイ本を手放しました。

石田さんは自転車で7年半、世界一周をしていました。この7年半の旅を書いた本が3冊あります。

1冊目は、「道の先まで行ってやれ! 自転車で、飲んで笑って、涙する旅 」という題名の本です。
これは私が日本一周の自転車旅を計画しているときに買いました。自転車で旅をする前に、ほんとうに自転車旅をできそうか下見がてら青春18切符を使って日本を旅していたのですが、その間中ずっとバックパックにこの1冊のエッセイ集だけを持って、旅をしていました。

途中でコーヒーをこぼしてしまってヨレヨレなのですが、このエッセイ集を気に入りすぎて、まだ捨てられないでいます。(そんなに気に入ったのなら、新しく買い直せばいいのですが。)

結局、自転車の旅に出ようという直前に、東日本大震災が起こり、旅は断念して速やかに就職をしました。そのこともあってか、なにか夢の続きを握っているような気がして、この本を持ち続けているのかもしれません。

そして最近になって、1冊目があまりによかったので、2冊目と3冊目を一気に買いました。
この3冊を読んでみて、一番面白かった物を本棚に残しておこうと思っています。 2冊目に読むのが、今回読んだ「洗面器でヤギごはん」です。

1冊目と2冊目、比べてみると私はこちらの「洗面器でヤギごはん」のほうが好きでした。食べることが大好きなので、やっぱりなという感じです。
コーヒーのシミだらけだった1冊目のエッセイを手放せて、ほっとしたような気持ちがしました。